種麹(たねこうじ)の歴史
種麹(たねこうじ)とは、麹を作るときに使う麹菌のことで、味噌や醤油や清酒や焼酎やみりんなどの醸造食品の製造に欠かせないものです。
種麹は、通常米を原料に麹菌を培養し、胞子をたくさんつけた後に乾燥させたもので、形状や用途や菌種によってさまざまな種類があります。
種麹(たねこうじ)の歴史
種麹(たねこうじ)の歴史は意外に浅く、明治時代に入ってから独立して製造・販売されるようになりました。
それ以前は、麹(糀)は「麹衆」と呼ばれる者たちが独占しており、種麹は秘蔵されていました。
しかし室町時代には、木灰を混ぜることで麹菌を選択的に生育させる技術が開発され、これが種麹の発明につながることとなったのです。
これは、「発酵食品を作る現場、作る時期から、離れた場所、タイミング、微生物だけを別途生育し、それを発酵食品に利用する」という、まさに画期的な概念の誕生でした。
江戸時代には、種麹業者が数社存在し、その中でも「黒判もやし」と「赤判もやし」と呼ばれる二大勢力がありました。
これらは、種麹(たねこうじ)の袋に黒い墨と赤い墨で印判を押していたことが由来です。
この時代には、種麹業者は菌株を複数所有し、造り分ける技術を持っており、「製造業者によって種麹の品質に違いがある」「目的によって種麹を使い分ける」「種麹が製品の品質に影響する」「麹の見た目と品質は必ずしも連動しない」ということが認識されていました。
明治時代から昭和初期にかけては、生物学や微生物学のレベルが高まり、全国各地の味噌や醤油、清酒などの麹(糀)や流通していた種麹から菌株を分離し、多くの知見が共有されるようになりました。
種麹メーカーの数も30社ほどにまで増加し、一部の大手メーカーは自社で種麹を生産するようになりました。
昭和中期から後期にかけては、経済成長と大量生産の時代であり、機械化や省エネ化が進みました。
その中で、種麹(たねこうじ)も機械で造ることを前提にした菌株の選定が行われるようになり、毛が短く生育が早く胞子が多い種麹が好まれるようになりました。
しかし、味噌や醤油、清酒などの麹(糀)を使った製品の生産量が減少し、種麹メーカーの統廃合が進んだ時代でもありました。
現在は、種麹(たねこうじ)も商品ごとの個性に合わせた商品が求められるようになってきています。
種麹メーカーは全国に数社しかありませんが、一般消費者はネットや薬局などで種麹を購入することができます。
種麹(たねこうじ)の種類
種麹とは、麹(糀)を作るときに使う麹菌のことであり、麹菌は米や麦や豆などの食品に発酵を起こさせる微生物です。
種麹は、形状や用途や菌種によってさまざまな種類があります。
白米種
白米を原料とした種麹で、最も一般的な種類です。
白米種は、味噌や清酒や焼酎などの製造に使われ、白米種は、さらに以下のように分けられます。
・白米黄色種
白米を蒸してから乾燥させた種麹で、黄色い色をしています。
白米黄色種は、味噌や清酒などの製造に使われます。
・白米赤色種
白米を蒸してから乾燥させる前に熱湯で煎って赤くした種麹で、赤い色をしています。
白米赤色種は、焼酎やみりんなどの製造に使われます。
玄米種
玄米を原料とした種麹で、玄米の香りが強いです。
玄米種は、玄米味噌や玄米焼酎などの製造に使われます。
大豆種
大豆を原料とした種麹で、大豆の風味が強いです。
大豆種は、大豆味噌や大豆焼酎などの製造に使われます。
小豆種
小豆を原料とした種麹で、小豆の甘みが強いです。
小豆種は、小豆味噌や小豆焼酎などの製造に使われます。
黒豆種
黒豆を原料とした種麹で、黒豆の色と香ばしさが強いです。
黒豆種は、黒豆味噌や黒豆焼酎などの製造に使われます。
雑穀種
雑穀を原料とした種麹で、雑穀の栄養と風味が強いです。
雑穀種は、雑穀味噌や雑穀焼酎などの製造に使われます。
種麹(たねこうじ)の特徴
たくさんの種類がある種麹ですが、以下のような特徴を持っています。
菌株
菌株とは、同じ菌でも微妙に違う性質を持つもののことです。
種麹の菌株によって、出来上がる食品の色や香りや味や熟成速度などが変わります。
菌株は、一般にアルファベットと数字で表され、白米種の中でも、K-1やK-2やK-3などの菌株があります。
粒度
粒度とは、種麹の粒の大きさのことです。粒度によって、麹菌の繁殖速度や発酵速度や水分調整などが変わります。
粒度は、一般に目数で表され、白米種の中でも、16目や20目や24目などの粒度があります。
水分量
水分量とは、種麹の水分の含有率のことです。水分量によって、麹菌の活性度や保存性などが変わります。
水分量は、一般にパーセントで表され、白米種の中でも、10%や15%や20%などの水分量があります。
種麹(たねこうじ)の健康効果
種麹(たねこうじ)は日本古来から伝わる発酵文化の一つであり、おいしいだけでなく健康にも良い食品を作ることができます。
ここでは種麹がもつ健康効果について説明します。
消化吸収を助ける効果
種麹(たねこうじ)に含まれる麹菌は、多くの消化酵素を生成します。
消化酵素は、食物の栄養素を分解して体に吸収しやすくする働きがあります。 例えば、たんぱく質をアミノ酸に分解するプロテアーゼや、でんぷんをブドウ糖に分解するアミラーゼなどがあり、これらの消化酵素は、種麹から作られた発酵食品にも含まれているので、胃腸の負担を軽減し、栄養素の吸収率を高めると言われています。
美白・美肌効果
種麹(たねこうじ)に含まれるコウジ酸は、厚生労働省が認めた美白成分の一つです。
コウジ酸は、肌を黒くさせるメラニン色素の生成を抑制するチロシナーゼという酵素の働きを阻害すると言われています。
これにより、シミやそばかすなどの色素沈着を予防し、肌を白く明るくする効果が期待できます。
また、コウジ酸には抗炎症作用もあり、ニキビや肌荒れなどのトラブル防止効果もあります。
免疫力向上効果
種麹(たねこうじ)に含まれる乳酸菌やビフィズス菌などの有益な微生物は、腸内環境を整えるとともに、免疫細胞の活性化や抗体産生などの免疫機能を高めると言われています。 これにより、感染症やアレルギーなどの予防や治療に効果的であり、また、種麹から作られた発酵食品に含まれるペプチドやポリフェノールなどの成分も免疫力向上に寄与すると言われています。
種麹(たねこうじ)は、米や麦や豆などの原料に加えることで、おいしい発酵食品を作ることができます。
自家製の発酵食品を常備して、麹(糀)を健康的な食生活にお役立てください。
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